みやぎ地域交通リ・デザインアカデミーについて
地域公共交通は、国民生活を支える社会基盤である一方、人口減少、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化等による長期的な需要減により、その持続可能性の確保が課題となっています。地域生活の足を守るためには地域が主体的に、実情に応じた交通ネットワークを検討することが求められます。
本アカデミーでは交通のみならず都市・地域経営の視点からも地域全体をコーディネートできる人材を育成することを目的として、全10回の学びの機会を提供します。単なるインプットにとどまらず、ワークショップでのアウトプットや、宮城県内のフィールドワークを通して、これまでの地域交通の構造を読み解く力と、多様な関係者と協力して課題解決に取り組む力を備えることを目指します。
宮城大学監修
本アカデミーは公立大学法人宮城大学との共催により実施され、同大学より徳永幸之特任教授が監修を担当しています。講義内容の設計に加え、ワークショップやフィールドワークを通じた実践的な学びの流れ、地域課題へのアプローチ方法などにおいて、教育的・社会的観点から内容の充実化を図ります。地域と多様な担い手が協働する場づくりに向けて、学びの質を高め、地域課題への実践的な対応力を育みます。
徳永 幸之氏
宮城大学 事業構想学群 特任教授 /
地域公共交通東北仕事人
東北大学工学部土木工学科卒業。運輸省(現国土交通省)、東北大学を経て2008年4月より宮城大学 事業構想学部(現事業構想学群)教授。2025年4月より現職。専門は交通計画・地域計画。
宮城県地域公共交通活性化協議会会長を務めるほか、県内20自治体の地域公共交通活性化協議会、地域公共交通会議の委員、東北運輸局地域公共交通東北仕事人も務める。
カリキュラムの流れ
本カリキュラムでは、より実践的な学びを通じ社会基盤である公共交通についての学びを深めます。単に知識を得るだけではなく、得た知識を活用することでより高い学習効果を得られます。県内事例の視察・ヒアリングを現場で体験し、机上の空論ではない、現場の課題やリアルな視点を持つことができます。最終回はフィードバックとしてカリキュラム全体を通じた学びの振り返りを行います。
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オンライン勉強会<全5回>
- 公共交通とまちづくり
- 自家用車との利用比較
- 利用者と提供者の比較
- 現場のリアルな事情等
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ワークショップ<全2回>
- 運行ダイヤの設計体験
- 走行路線の設計体験
- 他の参加者との協働
- 交通データの読み解き等
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フィールドワーク<全2回>
- 地域交通運営の実態
- デマンド交通運営の実態
- 実証運行から定常運行へ
- 自治体と地域の連携等
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フィードバック<総括・まとめ>
- 全体の学び振り返り
- ネクストアクション整理
- 新たな取組へのつながり
- 他の参加者との交流等
オンライン勉強会<全5回>
「自分の地域に最適な公共交通の形とは?」を検討する上で必要となる知識のインプットを行います。これまでの公共交通が歩んできた歴史から現在の公共交通に至る経緯や特徴を理解することで、地域のまちづくりにおける公共交通の位置づけを学びます。また県内2自治体から講師をお招きし、今まで見えていなかった提供者側の視点を養います。
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01
2025/8/20(水) 15:00~16:00
変わるまちに応える公共交通~地域社会と移動手段の歴史~
これまでのまちづくりの中で、公共交通はどのように対応してきたのか。
都市計画や地域構造が現在の公共交通のあり方に与えた影響を整理し、公共交通の立ち位置への理解を深めます。- 会場:
- オンライン(zoom)
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
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02
2025/8/26(火) 15:00~16:00
移動の実態に迫る~公共交通と自家用車の利用比較から見える課題~
現在の公共交通は移動ニーズを適切にカバーできているのか。
公共交通利用者と自家用車利用者の移動を比較することで、潜在的な移動ニーズを読み取り、公共交通の再構築の可能性を探ります。- 会場:
- オンライン(zoom)
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
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03
2025/9/10(水) 15:00~16:00
誰のためのサービスか~利用者像と現状の運営体制からの再評価~
現在の公共交通サービスは果たして適切に設計されているのか。
ライフスタイルの変化に伴うニーズの変化や運営側の仕組みを踏まえながら、これまでの公共交通の構造的な課題を明らかにします。- 会場:
- オンライン(zoom)
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
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04
2025/10/1(水) 15:00~16:00
公共交通を“支える側”のリアル【仙台市編】~路線バスの取組と課題~
仙台市の担当者から路線バスの課題や今後の展望を学びます。
路線バスの提供者として、何を考え日々運行し改善に取り組んでいるのかを学び、運営側の視点の理解を深めます。- 会場:
- オンライン(zoom)
- 講師:
- 仙台市交通局 自動車部 輸送企画課 事業企画室長 岡田 裕司 氏
宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
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05
2025/10/9(木) 15:00~16:00
公共交通を“支える側”のリアル【名取市編】~デマンド交通の取組と課題~
名取市の担当者からデマンド交通の課題や今後の展望を学びます。
地域事情に即した柔軟な運行の工夫とその中で見えてきた運営の難しさに触れながら、実践に基づく知見を共有します。- 会場:
- オンライン(zoom)
- 講師:
- 名取市 総務部 防災安全課 交通防犯係 關 利朗 氏
宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
※録画にてアーカイブ配信あり
ワークショップ<全2回>
公共交通の運行ダイヤや路線設計について、実際のデータをもとにグループで議論し、計画を立てるワークを行います。住民の移動パターンや人口分布などを踏まえ、効率的かつ実践的な交通計画を他者と協働して立案する力を養います。
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06
2025/10/15(水) 14:00~16:00
運行ダイヤ設計の実践~乗降データから見る最適な時刻設定~
乗降データを基に、運行ダイヤの設計に取り組みます。
住民の移動パターンや目的地を踏まえた分析力を育成します。- 会場:
- 宮城大学 大和キャンパス 交流棟2階(PLUS ULTRA-)[Google Maps]
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
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07
2025/11/5(水) 14:00~16:00
路線設計の実践~人口・利用状況から見る最適な路線設定~
人口分布データを基に、走行路線の設計に取り組みます。
効率的で効果的な路線設計に向けた実践的な考え方を鍛えます。- 会場:
- 宮城大学 大和キャンパス 交流棟2階(PLUS ULTRA-)[Google Maps]
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
フィールドワーク<全2回>
地域公共交通の現場を訪問し、運行実態や課題を直接見聞きします。自治体担当者や交通事業者へのヒアリングを通じて、提供者側の視点や運営の工夫、地域事情に即した取組を学びます。
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08
2025/11/13(木) 15:10~16:10
仙台市で学ぶ交通リ・デザイン~地域が主体となる地域内交通~
仙台市の支援事業を利用し、地域交通の試験運行を行う六郷東部地区にて運行の様子の視察や乗車体験、取組についてのヒアリングを行い、地域が主体の公共交通について理解を深めます。
- 会場:
- 東六郷コミュニティセンター [Google Maps]
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09
2025/11/19(水) 16:00~18:00
名取市で学ぶ交通リ・デザイン~生活の足としてのデマンド交通~
「なとりんくる」の配車現場や福祉車両の視察、自治体担当者と交通事業者へのヒアリングを行い、デマンド交通の実務や利用の現状、運営上のポイントについての理解を深めます。
- 会場:
- 大新東株式会社 名取旅客営業所 [Google Maps]
フィードバック<総括・まとめ>
すべてのカリキュラムを通して得た学びや考えについての整理を行います。他の参加者との意見交換や徳永先生からのフィードバックを受けることでさらなる気づきを得ることを目標とします。公共交通に対して意識の高い参加者と交流が可能です。
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10
2025/12/19(金) 14:00~16:00
現場に持ち帰る学びと実践~私たちのネクストアクション~
全体を通じて得られた学びや自分にできることについてとりまとめ、参加者同士でシェアを行い、学びをさらに深めます。
- 会場:
- 宮城大学 大和キャンパス 交流棟2階(PLUS ULTRA-)[Google Maps]
- 講師:
- 宮城大学 事業構想学群 特任教授 徳永 幸之 氏
